2021年9月16日木曜日

 

令和3年5月28日

                校長室から 第12号 

若手教師のために その12 

スーパーティーチャーにならなくても、、、

 学校には、いろいろな教師がいて、その個性も様々です。その中には、いわゆる「スーパーティーチャー」と呼ばれる先生たちがいます。何がスーパーなのか?

 ある理科の先生の授業です。

 生徒が司会と板書をして、各班の実験データを整理し、自分たちの力で「運動とエネルギーの関係」を見いだしていく。教師は授業展開の軌道修正が必要なときだけ指導・助言するだけ。

 ある保健体育科の先生の授業です。

 はじまりの準備体操から終わりまで、なんとその先生は一言もしゃべりません。全て生徒だけで球技の授業が成立していました。

 ある社会科の先生の定期テスト問題です。

 「〇〇について述べよ。」の1問だけ。採点はさぞかし大変だったと思います。

 他にもスーパーな例はありますが、これらの先生方に共通していることは、生徒主体の授業展開を貫いていたことだと思います。そして、どの生徒も取りこぼさないという信念がありました。だから、荒れている学校、荒れている学年・学級を任せられても、それを立て直し、よき学び手に育てあげることができたのでしょう。

 今は、かつてのような一人の「スーパーティーチャー」だけで学校は回りません。「チーム力」が学校を動かします。たとえ一人一人の教師の力がスーパーでなくても、力を合わせることでより大きな原動力となります。ICT機器の活用による、仕事の効率化も望まれます。

 新採のあなたが担任を受け持つことになったら、、、ぜひ、やってみましょう。

 1 最初から、各生徒の小学校からの児童に関する情報をあてにせず、自分なりに生徒一人一人の理解に努める。(先入観の排除。その後に、小学校情報を活用していく。)

 2 生徒に関する気付きをそのつどメモし、生徒ごとに保管しておく。(紙ベースでもよいが、パソコンで、データ化しておくとのちに便利。)

 3 2のメモがたまってきたら、分類し、生徒の多面的な理解に活用する。

 4 年度はじめから、生徒にもメモの習慣を身に付けさせる。(一人1台端末で記録させてもよい。)

 5 生徒のメモできるスキルは、いずれ学活や授業での話し合い活動に活きてくる。

 1~5のような、その気になればできそうな事の積み重ねは、実は、スーパーティーチャーと呼ばれる先生がICT機器など無い時代にコツコツとやっていた例の一つなのです。努力に勝る天才なし。

 

2021年1月26日に、中央教育審議会は、「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して ~ 全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現」というタイトルのもとに答申をまとめました。機会をとらえ、全文に目を通し読んでおきましょう。

2021年9月8日水曜日

 

令和3年5月20日

                校長室から 第11号 

若手教師のために その11 

教師に必要な力とは

 学校には、いろいろな先生がいて、その個性も様々です。「その10」では、教師に必要な「力」、力量のうち、「聴く力」について掘り下げてみました。

 今回は、「洞察力」と「承認力」です。

 学校では、よく「生徒の健康観察をお願いします。」と言われます。ここで言う観察とは、生徒の見た目や様子、顔色など、目に見える部分を細かく見て、健康状態を把握してくださいということです。これに対して、洞察とは、観察した事柄から、生徒の体調や気分など、目に見えない部分を見抜くことです。教師に必要な「洞察力」とは、観察しただけでは分からないものを直感的に見抜いて判断する能力です。

生徒の様子から、「嫌なことがあったのかな」「体調悪いのかな」など、その原因や心理状態に気付くことができるかどうかです。ベテランの先生の中には、生徒の声にならない声に耳を傾ける、また、生徒の背中を見て分かってしまう先生がいます。経験の浅い若手の先生がその域に達することは難しいとは思いますが、訓練しだいでは「洞察力」は磨くことができます。一つの訓練方法として、漫画のセリフの吹き出しを想像し、そこにどんなセリフが入るか考えてみることがあげられます。

教師に必要な「承認力」は、一番大切かもしれません。生徒に心の報酬を与えられるかどうか。承認には段階があります。

まず、最初にできることは、結果承認です。できたという結果を褒める。当たり前のことかもしれません。これができないと先生としては失格かもしれません。生徒にとっても結果を出しているのに褒められない、認められないとやる気は減退するでしょう。もちろん、もっと高い目標のため、褒めないこともありますが、それにはそれ相当の信頼関係がないとうまくいかないでしょう。

次は、プロセス承認。たとえ結果が出ていなくても、その過程を褒める。結果が失敗に終わっても、それまでの努力を認める。一番簡単な声掛けは、「よくがっばったね」「いつもありがとう」だと思います。

その次は、行動承認。例えば「毎日掃除をしてくれてありがとう」という声掛けです。きれいになってありがとうではなく、掃除という行為そのものをしていることを褒める。結果はともかく、行動を認められるとやる気がでます。ここまでは、多くの先生が実践していることです。

ここから先の承認は、できそうでできていないし、場合によっては、否定してしまったり、逆に叱ってしまったりしているかもしれません。特に学生時代、優秀だった先生は気を付けましょう。

次の段階の承認は、意識承認。まだ、行動していないが、行動しようという気持ちがあることを褒める。例えば「掃除をしようとしてくれてありがとう」。これを言われると、実行したくなります。

最後は、存在承認。この世に「いてくれてありがとう」。本来は、親や家族のセリフだと思いますが、困難な家庭の子供ほど、認められたいという欲求が強いものです。その生徒の存在そのものを褒める。これが日常的にできる先生は、プロ教師と言っていいでしょう。

 

2021年9月1日水曜日

 

令和3年5月12日

                    校長室から 第10号

 若手教師のために その10

 教師に必要な力とは

 学校には、いろいろな先生がいて、その個性も様々です。「その9」では、子供たちに慕われている先生は、どんな先生なのかを示したつもりです。

 今回は教師に必要な「力」、力量について考察します。いわゆる授業力と指導力以外に教師に必要な力とは、どんな力でしょうか。次の3つが考えられます。

1 聴く力

2 洞察力

3 承認力

ここでは、聴く力について掘り下げてみましょう。聴く力とは、どんな力でしょうか。大切なのは、聞くではなく聴くということです。傾聴する力といってもいいですが、単に耳を傾けるというよりも、全身で聴くという感じ。子供からすれば、「今度の担任の先生は、本当に自分の話をよく聴いてくれるから、よかった。学校が楽しい。」という先生になりたいものです。私もそうでしたが、教えるのが仕事であるという思いから、相談に来た生徒や保護者に対して、その課題や悩みについて、ついつい解決策を述べてしまう。もちろん、解決すればそれに越したことはありませんが、悩みなどは、よく聴いてあげるだけで済んでしまうこともあります。また、たわいのない話であっても、その話に共感することで信頼が深まります。

М先生のもとには、しょっちゅう生徒が集まります。ある時、生徒がМ先生に自分のお気に入りの音楽グループのことを熱心に話していました。М先生との会話は弾んでいてとても楽しそうです。たまたまそばにいた私は、会話が終わった後、「М先生は、生徒が好きな音楽グループついて詳しいのですね。」と聞きました。すると、М先生は、「そのグループのことは全く知りません。生徒があまりにも熱心に話すものだから、つい、相槌を打ってしまっただけなんです。お陰でグループのことがよくわかり、私も少し興味をもちました。」と答えました。М先生のもとに生徒が集まる理由がよく分かりました。

教師に必要な聴く力とは、答えをもたずに聴くことができる力です。相手を受け止め、尊重する。受容の姿勢が大切です。М先生は、基本的に相手の話をしっかり受け止め、相手の気持ちを汲み取りながら聴くことのできる先生なのです。

カウンセリングマインドを身に付け、それを自然に実践できる教師になりたいものです。