2021年10月20日水曜日

 

令和3年10月21日

校長室から 第14号 

若手教師のために その14 

天籟(てんらい)

風の吹き方は様々であるが、もろもろの穴に当たればもろもろの音を出し、その音は全てそれぞれの穴が自然に出しているのだ。その音を出させようとしているのは、いったい、誰なのであろうか(そんなものはいない)、と。天地自然の世界には風を吹かせて木々に音を出させようとしている者(主宰者)などはいない。・・・そして、木の穴に風が当たって出る音は、風と穴それ自体が発する自ずからのものだ、と認識するとき、その音こそ天籟に他ならない。

風に吹かれる木々が万籟(ばんらい)の声を発するように、我々の心もまた瞬時もざわめきをやめない。我々の心のざわめきもまた自然の働きとして認識されてくる。心の働きは意識のかかわらないところで勝手に動く。心に真宰(しんさい)があるようであるが、その痕跡は得られない。情況はあっても形はないのだ。【蜂谷邦夫「老子・荘子をよむ」より】

 合唱コンクールの取組ではいつも、中学生の声って美しいな と感じます。けれど、変声期を向かえると少年時代のような美しい高音が出せなくなりますから、中学生の男声は大変です。その時期を越えると、バスのような低音を出せるようになります。

合唱の良いところは、はじめのうちは一人一人の発声がバラバラでも、練習を重ねるうちに、少しずつそろっていき、やがて一つの美しい響きになるところだと思います。

音楽って不思議です。音は一瞬でも、誰かと響きあうと永遠になる。合唱コンクールでは、その取組の中で、一人一人が自分の学級のまとまりや団結を感じることができるはずです。

 私がまだ若かった頃、学級担任をしていましたが、一つの学年に8学級あり、学級対抗の行事等で1等賞を取ることは大変でした。特に、担任として、音楽的な指導ができない合唱コンクールでの金賞は、目標だけれどかなりハードルが高いものでした。さらに、若気の至り?で生徒理解も不十分だったこともあり、学級のまとまりもよくなかったと思います。よくわからない気合いだけで突っ走っていました。合唱で気合いだ!と怒鳴っても逆効果で、生徒の声が出るはずもありません(生徒の歌声よりも先生の注意の声の方が大きい)。いつのまにか自分の顔が鬼の形相になっていることに気付きませんでした。知らず知らずのうちに、生徒に歌うこと、声を出すことを強要していたのです。しかも当時、合唱コンクールの会場は学校の体育館が当たり前で、コンサートホールのような響きは出にくいので、声量ばかりにとらわれていました。ひたすら生徒に「声をだせーっ!」と大声を出すダメな先生だったと思います。そんな中、担任として、もう諦めの境地で出てきた一つの成功?が「天籟を聴こう!」でした。天籟といっても生徒には難しいので、次のように伝えました。

先生(私)「今度の合唱コンクールで金賞を取る秘策をこのクラスだけに教える。他のク   ラスには内緒だ。このクラスには合唱が得意な人もいれば苦手な人もいる。得意な人は苦手な人を責めてはダメだ。本番までにしっかり練習して、下手でもいいから全力で歌おう。そして、他の人の声をよく聴き、心を一つにすること。」

生徒「(ぽかーん)」

先生「実は、本校の体育館には伝説があって、全力で歌い、心を一つにしようとした者だけに聞こえる残響があるんだ。その音を聴けた者は幸せになれる。願いが叶う。」

生徒「ほんとに~。先生 どんな音ですか?」

先生「無音。」

生徒「えっ!それじゃ、わからない。そもそも聞こえないじゃん。」

先生「うーむ、その~、歌い終わった直後の、、、一瞬の静寂の中、ほわーん♪ みたいな。」

生徒「(大爆笑)」

私も「ほわーん♪」で大笑いしてしまい、この時、鬼から仏の笑顔になれたと思います。携帯やスマホの無い時代でしたが、生徒間の情報網はすごいもので、翌日には、、、

生徒「先生、部活の先輩に聞いたけど、そんな体育館の伝説 聞いたことないって。」

生徒「おんぼろ体育館のきしむ音じゃねえのか。ギリギリ(笑)。」

先生「おいおい。内緒だって言ったのに。」

生徒「先輩に聞いただけで、他のクラスには言ってないもん。」

生徒「サッカー部の先輩は、また、先生のたわごとだよ だって。」

そして本番。なんと、これまでで、一番いい合唱になりました。金賞こそ取れませんでしたが、生徒からは「聞こえた」という声がいくつかあがったのです。

生徒「先生、俺、全力を出しきったせいか、なんか聞こえたような気がするんだ。」

生徒「私も聞こえた気がする。そして、幸せな気持ちだった。願い、叶うかな?」

生徒「ええっ!ほんとに? 私、頑張ったけど、聞こえなかったな。余裕もなかったし。」

生徒「金賞クラスの生徒は、みんな聞こえたのかなぁ?」

先生「(ニコニコ)」

その後、クラスはどんどん落ち着いて、なんとなくいい学級になっていきました。 

 

令和3年6月30日

校長室から 第13号 

若手教師のために その13 

電話は、学校の顔 声は心の響き

 学校内で外部からの電話に最初に出た人は、その学校の代表者です。代表者すなわち校長であると思って、責任のあるさわやかな応答をしたいものです。「受話器には目がある」と考え、見えない相手を忘れてはいけません。どんなに忙しくても、「明るく丁寧に」を心掛けていると、自然に受話器を取りながらエアーでお辞儀をするようになってきます。それくらいでちょうどいいと思います。丁寧でテキパキとした処理ができると、電話相手からの信頼も高まり、学校に電話してよかったと思われます。

通話内容を整理し、取り次ぐ場合は、いわゆる5W1Hを踏まえた上で、いつ どこで だれが なにを どうした、という能率よく簡潔な会話で要点を伝達できるようにしましょう。若いあなたは、メールには慣れているでしょうが、通話はあまりしないのかもしれません。電話対応は社会人としての基本でもあるので、おそれずに積極的に電話に出ましょう。自分のよく知らないことは、先輩の先生や副校長にたずねて、正確に応答しましょう。たとえ自分で対応しきれなくても、きちんと応答し、取り次ぎができれば大丈夫です。

電話取り次ぎの基本

1 取り次ぐ際は、必ず保留ボタンを押す

2 保留中に電話が切れてしまったら、待つ

 3 不在の理由は、簡単でよい。余計な情報は伝えない

 4 不在の場合、要件を聞いておく

 5 伝言の内容はその場でメモする

 6 クレームはこちらから切らない。相談は後でかけ直す

 相談の場合、先方の電話番号と都合の良い時間帯を聞いて、後ほど担任や学年主任の先生が折り返しの電話をしやすいようなメモを残しましょう。